元交際相手への逆恨みから、殺人のぬれぎぬを着せるために犯行に及んだ――。
前橋地裁は11月、そう指摘し、強盗殺人などの罪に問われた被告の女(34)に無期懲役の有罪判決を言い渡した。被告が無罪を訴えた中、地裁が信用したのは、共犯者とされた男(37)の証言だった。
判決や男の証言などから、事件の経過をたどる。
被告は2020年5月ごろ、マッチングアプリで知り合った被害男性と交際を始めた。だが、7月ごろ、被害男性のクレジットカードの不正使用を疑われ、距離を置くことになった。その後、電話やメールで連絡を取ろうとしても一切、応じてもらえなくなった。
同じころ、被告とゲーム仲間だった男のもとに、被害男性に危害を加えることなどを指示しているとみられるSNSのメッセージが届くようになった。被告に頼み、紹介してもらった女性「ミノリ」からだった。男の携帯電話には、次のような受信メッセージが残っていた。
「(男が)処理するってこと」「包丁で刺すって話。」(7月24日)
「用意しておいてほしいものが」「金属バット」「(一応)練炭」「刃物類」(同月25日)
「自殺しなければすぐ消すこと」「(被害男性が)殺したように仕向けて2階でもどこでも転がしておくこと」(同月30日)
被告がSNSで自殺志願の被害女性を誘い出し、その被害女性を男が殺す。そして、その遺体と身分証を被害男性の家に運び、家ごと燃やす――。
そんな計画に、男が加わっていった。被害女性や被害男性とは面識がないのに、なぜ応じたのか。男が理由に挙げたのは、まだ見ぬミノリへの恋心だった。
検察官「どうやってミノリと…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル